
・本当に効果はあるの?
・医学的根拠はあるの?
ポイズンリムーバーの導入を検討しているけど、「効果に医学的根拠はあるの?」と感じた人も多いはずです。
そこで、 ポイズンリムーバーの効果を医学的に考察してみました。
この記事でわかること
- ポイズンリムーバーは本当に効果があるか?
- ポイズンリムーバーの医学的根拠について
- 結局持った方がいいか?
この記事では、ポイズンリムーバーの効果を医学的に考察しています。
✔️ UL(ウルトラライト)歴
カル吉@ul_compass
✅ UL登山歴8年目
(縦走・ロングトレイル・源流タープ泊)
✅ ベースウェイト3kg未満
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毒ヘビに咬まれたり、ハチ(毒虫)に刺された際の応急処置としてポイズンリムーバーを持っている人も多いはずです。
しかし、現時点でポイズンリムーバーの効果は医学的に証明されていません。
それどころかポイズンリムーバーが毒液を吸引する効果は極めて薄く、逆効果となる可能性があることが分かっています。
そこで、ポイズンリムーバーの効果について海外の研究をもとに医学的に考察していきいます!

ポイズンリムーバーの効果と医学的根拠

ポイズンリムーバーは、毒ヘビやハチの毒液を吸引することで症状を緩和する効果が期待されています。
しかし、2025年12月時点、効果について医学的根拠を説明しているサイトや論文はないです。
商品説明も「毒液の吸引」の表記にとどまり、「症状の軽減」についての明記はありません。
また、あくまで医師の手当を受けるまでの「応急処置」としての使用が推奨されています。
逆にポイズンリムーバーが「医学的に効果がない」という研究結果を見つけたので紹介します。
ポイズンリムーバーでは微量の毒しか吸引できない

人をモデルとした模擬毒吸引実験により、ポイズンリムーバーにより吸引できる毒は微量(注入量の2%)であることが分かっています。
根拠となる論文等
参照
Annals of Emergency Medicine:「Suction for venomous snakebite」
実験内容
実験内容
・被験者8人の足1cmの深さに放射線物質で印をつけた模擬毒を注射
・3分後にポイズンリムーバー(SAWYER製)を使用し、15分後に吸引された血液を収集
・収集した血液中の放射性物質の数および体内に残存する放射性物質の数を測定
実験結果
実験結果
・ポイズンリムーバーにより吸引できた模擬毒は、注入量の2%
結論
結論
・毒ヘビ咬傷によるポイズンリムーバーの使用は、効果的な治療である可能性は低い
ポイズンリムーバーが弊害となる可能性もある

ブタをモデルとしたヘビ毒吸引実験により、ポイズンリムーバーの使用は毒による症状を軽減する効果はなく、組織の壊死につながる可能性があることが分かっています。
根拠となる論文等
参照
実験内容
実験内容
・ブタ10頭の脚7mmの深さにガラガラヘビの毒を注射
・ポイズンリムーバー使用の有無によりグループ分けをした
・使用するグループでは3分後にポイズンリムーバー(不明)を使用し、30分間使用し続けた
・1.2.3.4.5.6.24.48.72.96時間ごとに脚周長を測定
実験結果
実験結果
・ポイズンリムーバーの使用の有無による最大の腫れ(6時間)と最小の腫れ(96時間)に差はなかった
・ポイズンリムーバーを使用したうち2頭のブタの使用部位の組織の壊死が確認された
結論
結論
・ガラガラヘビの毒に対するポイズンリムーバーの使用による効果はなかった
・ポイズンリムーバーを使用した場合、組織の壊死につながる可能性がある
医学的根拠がないのに普及している理由
ポイズンリムーバーの効果に医学的根拠がないことが分かりました。
しかし、Amazonの販売ページを見ると、レビュー件数が2,500件を超え、評価も☆4と高いです。
ここからは「医学的根拠のないポイズンリムーバーが普及している理由」について考察していきます。
効果があると思っている

1つ目の理由は、ポイズンリムーバーの効果に医学的根拠がないと知らないからです。
これは、「ポイズン(毒)リムーバー(取り除く)」という商品名や「効果があった」というレビューも原因だと感じます。
医学的効果が証明されていない現在、ポイズンリムーバー使用により「症状が軽減した」と感じるのはプラセボ効果です。
商品パッケージに「※効果に医学的根拠はありません」と記載があったらここまで普及しないはずです。
価格が安く使い方も簡単
出典:ダイソーネットストア
2つ目の理由は、ポイズンリムーバーは価格が安く使い方も簡単なためです。
いまやポイズンリムーバーは100均でも販売されており、有名な物でも1,000円程度で購入が可能です。
経口や注射の必要がなく、素人でも緊急時に片手で使用可能な点も購入のハードルを下げているポイントです。
エピペン(アドレナリン自己注射薬)のように医師の診断と処方が必要であれば、ここまで普及していないはずです。
登山雑誌やサイトで紹介されている
出典:PEAKS
3つ目の理由は、登山サイトや雑誌でおすすめされているためです。
経験豊富な山岳ガイドや山岳医がおすすめしていると「ポイズンリムーバーは必要」だと思いますよね。
目にする機会が増えた結果、「みんなが持っている=価値がある(信頼できる)」と錯覚してしまいます。
サムスプリント(副木)のように知名度が低ければここまで普及しないはずです。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
結論、カル吉は現時点では、「ポイズンリムーバーの効果に医学的根拠がないので持たない」ことを選択します。
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冷静に考えると緊急時に素人が1,000円程度の器具を適切に使用して毒を取り除くのは無理がありますよね。
毒ヘビに咬まれたりハチ(毒虫)に刺された場合は、患部を清潔な水で洗い流し、速やかに医療機関を受診することにします。
ただし、あくまでも『現時点では』なので、今後医学的根拠が証明される可能性もあります。
なお、カル吉が見落としているだけで有力な情報があればコメントにて教えていただけると幸いです。





