・ピストの締め付けトルクは?
・感覚だと緩みや破損が怖い
・適切なトルク管理をしたい
正しい締め付けトルクによる管理は、パーツの寿命を延ばすことにも繋がります。
そこで、ピストバイクの締め付けトルク一覧を詳しく解説します!
この記事では、ピストバイクの締め付けトルク一覧を紹介しています。
✔️ UL(ウルトラライト)歴
カル吉@ul_compass
✅ UL登山歴8年目
(縦走・ロングトレイル・源流タープ泊)
✅ ベースウェイト3kg未満
(現在のギアリスト)
✅ ULギア投資額200万円超
(個人輸入実績◎)
無限の好奇心でUL情報をシェアしてます。
軽量化の『スキルとノウハウ』で気軽に身軽に自由にハイクを楽しみましょう!
NJSパーツやこだわりのカスタムパーツも、適切なトルクで組まれて初めて本来の剛性と精度を発揮します。
しかし、手の感覚だけでは「締めすぎによる破損」や「緩み」のリスクを完全には拭えません。
そこで、カル吉のパーツ構成をベースに、「締め付けトルク一覧表」を作成しました。
各パーツの数値をまとめたので、作業の際のちょっとした参考にしてください。
トルク管理で安心をプラス
トルク管理の必要性
トルク管理とは、ネジやボルトをメーカー指定の強さで締めることです。
オーバートルクやトルク不足による破損を防ぐため、次の2つのリスクを回避する必要があります。
オーバートルク(締めすぎ)のリスク

オーバートルクによる「締めすぎ」は、ボルトの折れやネジ山の潰れにつながります。
パーツのひび割れや変形を防ぐためにも、指定トルクを超えないことが大切です。
トルク不足(緩み)のリスク

トルク不足による「緩み」は、パーツのガタつきやボルトの脱落につながります。
命に関わる事故を防ぐためにも、適切なトルクで固定することが大切です。
締め付けトルク一覧
整備のたびに「適正トルクはいくらだったかな?」と迷わないよう、一覧表を作成しました。
オーバートルクや締め付け不足を回避することで、パーツの寿命を延ばし、安全な走行が可能になります。
| 項目 | パーツ名 | 推奨トルク(N・m) | 締め付け方向 |
| ハンドル | ステム(フォーク側) | 6 - 8 | 正(時計回り) |
| ステム(ハンドル側) | 4 - 6 | 正 | |
| サドル | シートクランプ | 9 | 正 |
| サドル(やぐら) | 15以下 | 正 | |
| ブレーキ | ブレーキ本体 | 8 - 10 | 正 |
| ブレーキシュー | 5 - 7 | 正 | |
| ブレーキレバー | 3 - 4 | 正 | |
| ブレーキワイヤー | 6 - 8 | 正 | |
| BB・クランク | BB右ワン | 50 - 70 | 逆(反時計回り) |
| BB左ワン | 35 - 50 | 正 | |
| チェーンリングボルト | 14 - 16 | 正 | |
| クランクボルト | 40 | 正 | |
| ペダル(右・左) | 35 - 40 | 正 / 逆 | |
| ホイール | ハブ(玉押)/ F | 15 - 25 | 正 |
| ハブ(玉押)/ R | 17 - 35 | 正 | |
| コグ / ロックリング | 40 | 正 / 逆 | |
| ハブナット / F | 22 - 30 | 正 | |
| ハブナット / R | 33 - 45 | 正 |
※ 本表は、筆者のピストバイク(SURLY Steamroller × NJS)の構成を基本とした数値です。
※ 製品により指定トルクは異なるため、必ずご自身のパーツの刻印や説明書を優先してください。
※ サドル(やぐら)は、シートポストの規定を優先し、最大15Nmを超えないようにしてください。
ステム(フォーク側)

ハンドルの動きを前輪へ正確に伝え、進行方向をコントロールするパーツです。
「片締め」を防ぐため、2本のボルトを交互にバランス良く締め込んで固定します。
ステム(ハンドル側)

ハンドルバーを固定し、体重を預けても角度がずれないように支えるパーツです。
4本のボルトを「対角線」の順に、少しずつバランス良く締め込んで固定します。
シートクランプ

サドルの高さと向きを一定に保ち、安定したペダリングを支えるパーツです。
締めすぎはフレームやボルトの破損を招くため、指定のトルクで固定します。
サドル(やぐら)

サドルの角度と前後位置を固定し、適切な乗車姿勢を維持するパーツです。
走行中にサドルが動かないよう、2本のボルトを均等に締めて固定します。
ブレーキ本体
出典:SHIMANO
左右からリムを挟み込み、車輪の回転を抑えて減速・停止させるパーツです。
本体が左右に傾かないよう中心に合わせ、指定トルクで固定します。
ブレーキシュー
出典:SHIMANO
リムに直接接触して摩擦を起こし、車輪の回転を止める消耗パーツです。
左右の隙間を均等にそろえ、位置がずれないよう固定します。
ブレーキレバー

ハンドルを握る力をワイヤーへ伝え、ブレーキを作動させるパーツです。
安全な操作のため、ハンドルを握った際に指が無理なく届く位置で固定します。
ブレーキワイヤー
出典:SHIMANO
レバーの「引く力」をブレーキ本体へ伝達し、制動力を生む消耗パーツです。
確実なブレーキ操作のため、緩みが出ないよう指定トルクで固定します。
BB右ワン
出典:SUGINO
チェーンリング側でペダリングの荷重を直接受けるため、車体で最も高いトルクを要するパーツです。
走行中の回転による緩みを防ぐため、逆ネジ構造を極めて高い指定トルクで固定します。
BB左ワン
出典:SUGINO
右ワンとともに回転軸を支え、フレームの両端からベアリングを保持するパーツです。
左カップが共回りしないよう工具で保持し、ロックリングを指定トルクで確実に締め付けます。
チェーンリングボルト
出典:SUGINO
クランクとチェーンリングを固定し、ペダリングの力を駆動系へ伝えるパーツです。
歪みや異音を防ぐため、5本のボルトを「星形」の順にバランス良く締め込みます。
クランクボルト
出典:SUGINO
クランクをBB軸に圧入し、走行中に脱落しないよう固定するボルトです。
緩むとクランク側の穴が削れて使い物にならなくなるため、指定トルクで確実に締め込みます。
ペダル

踏み込みと引き足のエネルギーを路面へ伝える接点となるパーツです。
走行中の緩みを防ぐため左右で締め方向が異なるので、注意して確実に締め込みます。
ハブ(玉押)/ F
出典:SHIMANO
ホイールの回転を支える軸受け部分で、滑らかな走行性能を左右するパーツです。
回転抵抗やガタつきが出ないよう、微調整を繰り返して確実に固定します。
ハブ(玉押)/ R
出典:SHIMANO
チェーンの張力や荷重に耐えるよう、フロントよりも高いトルクで固定するパーツです。
強固に締め込んでも滑らかに回るよう、微調整を繰り返して確実に固定します。
コグ / ロックリング
出典:SUGINO
足の力を後輪へ伝え、スキッドなどの逆回転負荷にも耐えるパーツです。
正ねじを逆ねじで抑える特殊な構造を利用し、二段階で確実に固定します。
ハブナット / F
出典:JKA
フロントホイールをフォークへ固定し、走行時の脱落を防ぐパーツです。
片締めによるフォークの歪みを防ぐため、左右交互に確認しながら確実に固定します。
ハブナット / R
出典:JKA
チェーンのテンションを決定し、ホイールをフレームに固定するためのパーツです。
走行中のズレや脱落を防ぐため、位置を微調整しながら左右交互に確実に固定します。
トルク管理の方法
どれほど高価なレンチを用意しても、正しく使えなければパーツを壊す凶器に変わります。
正確なトルク管理を行うために、欠かせないポイントは次の3つです。
トルクレンチを使って数値を可視化

トルクレンチを使用して、締め付けトルクを数値として可視化することが最も重要です。
「手トルク」のような曖昧な感覚を卒業し、指定の数値でパーツの寿命と安全を守りましょう。
ネジ山の清掃とグリスアップ

砂や汚れをリセットしてグリスを塗り直すことが、正確なトルク管理への第一歩です。
パーツの固着を防ぐためにも、用途に合った信頼できるグリスを使いましょう。
複数ボルトは均等に締め込む

複数のボルトがある箇所は、対角線や左右交互に少しずつ締め込みます。
均等にトルクをかけることで、パーツを痛めずに本来の固定力を最大限に引き出せます。
トルクレンチの使用時の注意点
トルクレンチは単なる工具ではなく、繊細な動きで数値を測る「精密機械」です。
道具自体の精度を保ち、パーツの破損を未然に防ぐために気をつけるべきは次の3点です。
「仕上げ」の確認だけに使う

通常のレンチで規定トルクの手前まで締め、最後の数値チェックとしてのみ使いましょう。
最初からトルクレンチで回すと内部機構を傷め、精度が狂う原因になります。
規定トルクに達した合図を逃さない

設定値に達した合図(音や手応え)があった瞬間に、すぐ締め付けをやめましょう。
ついやりがちな「追い締め」は、オーバートルクによりパーツを傷める原因になります。
ボルトに対して垂直に力をかける

正確な数値を出すためには、ボルトの回転軸に対して垂直にトルクを伝える必要があります。
力が斜めに逃げてしまうと、ボルトの頭をなめてパーツを傷める原因にもなります。
設定値を最小に戻して保管する

計測精度を保つため、使い終わったら設定値を最小にして内部のバネを緩めます。
精密機械ですので、汚れや衝撃から守るために専用ケースに入れて保管しましょう。
おすすめのトルクレンチ
カル吉が実際に愛用している1本と、購入時に最後まで迷った2本を紹介します。
どれもピストの整備には間違いのない選択肢なので、好みに合わせて選んでください。
SK11 / デジタルトルクレンチ SDT3-060
カル吉も愛用中のこの一本は、3~60N・mと範囲が広く、ピストのほぼ全箇所をカバーします。
高価なプロ用と比較しても操作性は遜色なく、これ一本で済ませたい方に最もおすすめな選択です。
東日製作所 / プレセット形トルクレンチQL50
世界中のプロが信頼を寄せるトルク機器の専門ブランドで、圧倒的な精度と耐久性を誇る王者です。
10〜50N・mをカバーし、校正して一生使い続けたいという本物志向のピスト乗りに最適です。
TONE / プレセット形トルクレンチ T3MN50
設定値が「窓」に数字で表示される独自機構により、アナログ式特有の目盛の読み間違いを防げます。
10〜50N・mに対応し、電池不要でいつでもサッと使えるため屋外での調整が多い方に便利です。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
メンテナンスにおいて、曖昧な感覚を数値で確認できるトルクレンチは非常に有効な道具です。
適切なトルク管理はピストの性能を維持し、パーツの寿命を延ばすことにもつながります。
一方でコグやBBなど、構造上トルクレンチが使えず感覚が頼りになるパーツも存在します。
まずは使える場所で数値と手応えを一致させ、少しずつ「感覚の精度」を上げていきましょう。
正しい知識と確かな道具で整備されたピストは、乗っている時の安心感が違います。
ぜひ、適切なトルク管理をして、最適なコンディションでピストライフを楽しみましょう!















